「ご自愛」で貧乏になる人、ならない人
こんにちは。佐藤友子です。弊社では個人事業主の方からの問い合わせが多いので、個人事業主向けのWEBサイトなどをよくリサーチしますが、時々違和感を感じるものがあります。
(ブログランキングの応援ありがとうございます。今日はご自愛なんちゃらについてです)
目次
起業の「迷走期」を経て
私はゼロから起業しまして、今はマーケティングにかかわるコンテンツ提供を中心に行なっていますが、実は本当は、これまでやっていた「看護師」という職種を活かして何かやりたいと思っていました。なぜかというと、医学的なことが好きだったし、医師が弱い「専門と一般ユーザーの間」を埋めるプロセスは、看護師に分があるのではないかと思ったからです。
しかし、当時は(今もですけど)頭が固くて、看護師として起業するなら訪問看護かなぁ…という発想にしかいたりませんでした。とはいえ、そもそも訪問看護にさほど興味がなかったし、プロセスを想像したときに自分がやれてる気がしないのでやめました。母が病床に伏しているとき、訪問看護師さんにだいぶお世話になったんですよ。けれどそのとき「いやー私にはこんなに気の利いたことはできないや…」と直感的に悟りました。(笑)
医療といったらカドゥケウス!
専門であった心臓の分野も、じゃあナースが何ができるんだ?病院があるから十分なのでは?と当時は思ってしまいましたし、では予防医療は?というと、ビジネスモデル的に当時はさほどアイデアがなかったのです。そう考えたときに、
(1)ビジネスモデルとして難易度が低く
(2)私ができること
から考えてみようと思い、今に至ります。こういった具体的なプロセスについては「実践型ビジネススクール」で伝えていますので、この記事では割愛します。
個人が起業するときの闇
私が起業をこころざしたのは2012年くらいで、実際に本格的に活動しだしたのが2013年くらい。手さぐりで情報収拾をしだしたのですが、その頃ちょっとした起業ブームが起こりつつありました。そして2015年くらいでしょうか。「SNS起業」ということばが流行りだしたほどに、「とりあえずSNSで発信していれば売れる!」みたいな時代があったんです。
SNSが本格的に普及しだしたタイミングでもあり、言い方は悪いですが、大した商品じゃなくても、粗悪品でも「見せ方しだい」で売れていたのです。そこで「キラキラ起業女子」という言葉が登場したりもしました。(今も活躍されている方ももちろんいらっしゃいますよ)
そもそも、起業の歴史をひもといてみると、ブームになる流れというのは以前からもあり、言わずもがな成功する人と失敗する人がいます。そして、やってみて、思ったようにうまくいかなかった後者の人たちが次に走るのが「癒し」です。テンプレートのようにやって成功するのなら、誰でもやってるんですよ。1億総起業しますって(笑)。だってそうでしょう?
もちろん、会社員でしかできない仕事もあります(大きな組織、資金力を必要とすることとか)。でもその代わり、自分で選べないような責任や守らなければいけない決まり、馬が合わない人との付き合いなどなど、会社員はストレスも大きいことが統計などでわかっています。心理学のとある実験によると、「自分でコントロールできる範囲」が小さいと、人はストレスを感じるのだそうです。ですから、雇用形態でいうと、正社員よりもアルバイトのほうが精神的ストレスが低いという説もあります。
「SNS起業」のときに、「とりあえずやってみよう」とはじめて、なまじっかちょっと稼げてしまったり、深く考えずに高額塾などに投資したけど回収できなかったりした人たちが、だんだんSNSにもあふれてきて、「どうやら様子がおかしいぞ?」となってきます。「今まで稼げてたのにおかしいぞ?」となるのです。いやそうじゃなくて、今までの稼げてた状態がイレギュラーなラッキーパンチだったんですよ、ということに気づかずに焦り始めるのです。
この頃アロマの先生をしている方から、とある相談を受けたんです。「からっぽな気持ちでアロマで起業しようとしている人が多くて、このままじゃ失敗するのが目に見えている。こういう人たちをよい方向に導けないか?」というものでした。この方のように本気で心配してくれる先生に出会えた人は幸せだったと思いますが、そうではない人のほうが多かったと思います。
起業の癒しとは?
さて、起業の癒しってなんだと思います?ちょっと考えてみてください。
答えは「頑張りがむくわれること」。もっというと、「頑張りがむくわれそうな未来が見えること」です。どういうことかというと、今まで自分なりに頑張ってもうまくいかなかった人たちが「今のあなたのままでよいのですよ」と認められることで、不安な現状から解放される現象のことをさしています。
そもそも起業というのは、100個アイデアがあって1個当たればよい。というくらいの難易度ですから、まかりまちがっても「今のあなた」ではダメなわけです。それでよいならすでに成功してますって。
それで「本当に自分を大事にすればうまくいく」「自分を満たせばうまくいく」「自分を満たしてあふれたことでしか、他人に価値の提供はできない」
→だからまずは自分を最大限に愛してあげるべき
というロジックで「癒し起業」をする人が増えるというわけです。だいぶ論理破綻していますが、心が弱っているときはグラっときてしまうものです。いやいやいや、うまくいかないのは自分を愛していないからではなくて、ビジネスとしてイマイチだからですよって。
「ご自愛」で貧乏になる理由とは?
といって、ご自愛をするために「自分を最優先」するので、ある人は家族のことがなおざりになったり、他人を傷つけたりして人間関係が破綻することすらあります。ある人は物欲が爆発してブランド物を買いまくり、破産することもあります。また、「ご自愛〇〇」的なものにはまってしまい、高額の課金をし続けてジリ貧になる人もいます。
そう、自分を愛するだけでは貧乏になるのです。当たり前ですって。自分のことばっかり考えてて、豊かになるわけがないでしょうよ(笑)。でもいっぽうで、「自分が満たされてあふれた分でしか、他人に価値の提供はできない」というのは真実ではあります。けれど、あふれたら自動的に他人に貢献できて、ビジネスでも儲かる…とは問屋がおろしません。ロジックが雑すぎます。
結論を言いますと、自分を満たすことはそれはそれでやったらよいと思います。大事なことです。けれど、それとビジネスの成功が両立する条件は「世の中(他人・他者)にものすごく役にたつくらい、自分の強みを磨き上げたときのみ」です。
つまり、ビジネスという文脈でいうと、誰かの役に立たないと収益にならないわけなので、自分を愛して満たすだけでは自己満足ということです。他人の自己満足にお金を払う暇人はだいぶ少ないと思います。まとめると、ビジネスが成功するのは、誰か(世の中)にものすごく役にたつくらいに自分の強みを磨いたときのみ。ということになりますね。
あとは忘れちゃいけないマーケティングの技術ということになります。ですから、自分を癒したい!という気持ちが何よりも強いときは、まずはビジネスに取り組むのはやめておいたほうがよいかもしれないですね。自分でいっぱいいっぱいなうちは、他人の役になんて立てませんから。自分を大切にするということは、自分中心にすることではなくて、自分をいじめないということなんですよね。
そういうときは無理をしないように。と、私は講座などでも率直に伝えるようにしています。そうでないと、その人の人生レベルで悪い方向に行ってしまうからです。あなたはどうですか?謎の癒しに疲れてしまっていることがあるのなら、そっとその癒しを休んでみることをオススメします。